「鉃學」は、鉄道に乗り紀伊半島にある歴史・文化・環境・地質・成り立ち・住民の生活を学びながら、いざという時の「列車からの避難方法」を体得し、率先避難者を増やしていくことを目的に生まれたプログラムです。

「鉄學」が生まれた和歌山県は紀伊半島沿岸部に沿って鉄道路線が延びており、大きな地震が起これば津波の危険性がある地域です。

津波浸水想定区間が全線の約35%を占めるきのくに線では、実際の電車を使った実践的避難訓練を早くから実施し、その取り組みは「世界一の津波対策を目指す」と言われるほどです。特に鉄道会社として「飛び降りて避難する」ことは、安全上考えられないことでしたが、現在では迅速に避難するために欠かせない方法として、他の鉄道会社にも影響を与えています。

一般的に防災対策を展開すればするほど「ここは危険な地域だ」として認識されてしまいがちです。「鉃學」では、実践的避難訓練の体験機会を増やしつつ、豊かな紀伊半島の地域資源を構造的に学び、地域振興に役立つ防災対策を心がけています。

JR西日本和歌山支社や地域の皆さんの協力を得てスタートした「鉄學」は今後、学校での「遠足・社会見学・修学旅行」や「ツアー商品化(スタディーツーリズム)」を目指していきます。

自分の命を守ることが、他人の命を守ることにつながります。いざという時に率先避難者として行動し、災害に強い鉄道・地域づくりにぜひ参画してください。

 

 

 

 

 

鉄道防災教育・地域学習列車「鉃學」事務局
平成28年度JR西日本あんしん社会財団研究助成「スタディーツーリズムの手法を用いた鉄道防災教育プログラムの開発と実証」(16R028)研究代表者
和歌山大学クロスカル教育機構生涯学習部門准教授 西川 一弘